青春売買ホテル

茜の青春実況〜カコログ

 
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2005-06-29    世界


 「ハチミツとクローバー」という漫画が私は好きで、漫画喫茶で何度も読み返していたのだが、ついに単行本を集めようと本屋へ自転車をこぐ。この漫画は簡単に言えばただのほのぼのしたラブストーリーだった。
 また昨日は、暇人な私はレンタルビデオを3作借りた。気がつけば、どれも恋愛ものと言えば否定はしない。前から気になっていた妻の狂気を描いた「死の棘」とウディ・アレンの「アニーホール」となんとなしに母が名作らしいよ? と言っていた「ベティ・ブルー」

 勉強をし、漫画を読み終え、本棚から太宰治の本を取り出すと、暇つぶし程度に読んだ。それからまた少し勉強。その後の映画「ベティ・ブルー」
 その映画の、愛に壊れ行く様を、ただあっけなく母と見ていた。初めは淫らにセックス・シーンではじまるこの映画だが(というか、R15指定でとてもエロい部分をカットしない「完全版」だった)、ただ愛しいあまりヒステリーになってゆく女・ベティにひたむきな愛情を注ぐ男は何故か同情するものがあり、しかしながらベティが疎ましかった。
 もうこんな女になれない、と。
 「もう」とは、前から私はそうではなかった(と思う)が、そうゆう愛され方されるというのは、女のどこか底にある願望だろうな、と思う。
 とは言え、疲れて途中で観るのをやめてしまったので、明日続きを。

 感覚として、その映画が強烈すぎたのか、何故か絶望的な気分。
 「知りたくないよね、そんな世界」と一人呟いてしまうのだが、それ以前にあの漫画の切ない世界と太宰の思考が入り混じって、混沌し、無駄な妄想に精も尽き果ててしまう。

 最近、一番知りたくない世界がわかってきた。
 見つめなきゃ、と一人焦り、疲れて一人で夜は泣く。

 森の中。

 この間、この日記を読んで、「あんまり偽ったり、我慢するなよ。もっと素直になりなさい」と、ある人が言ってくれるた、無神経にも4時頃のメールだった。いや、私は全然かまわないけど。そしてそっと弱音をはいてみる。
 あのね、その後のメール、頑張ろうって思ったの。この場で、再びお礼言います。ありがとう。

 森の中。あらあらやっぱりあたし、突っ走ってるなあ。
 
2005-06-25    温度


 家業の手伝いで、歯科医院の受付をやっている。所詮バイトであるが。今日の助手は、私と母と従業員・Y子と新人バイトの子(歯科衛生士学校学生)だった。
 新人バイトの子は、院長(父)に叱られながら、可哀想な表情をしていた。後になって「やめるんではないだろうか…」と母が心配そうに言う。
 私の勝手な先入観だが、医療に携わる女性というのは、根が強いものが多い。というか、そうではないとやっていけないものだと。まあ、ごく当たり前のことである。彼女たちはいろんな面で強い。
 受付専門の私は気楽なものだった。しかし、煩い親、過保護な親の話を聞き、次の予約をとるのは(うちの医院は、矯正専門の予約制)いささか戸惑うものである。そんなとき、従業員・Y子が隙を見て、フォローを入れる。劣等感もあるのだが、Y子には感謝。しかし、私とY子は、何故か意味のないバトルが始まっているのだ。
 何が発端だったか、次第に話すようになっていくにつれ(それはなんとなくあのキスマークがばれた時のような気がする)、Y子の自信に満ちた発言に、私は時に嫌味を言い、Y子が口では負けぬ、という感じで反撃を繰り返すというのが主である。
 今日も今日である。
「Y子さん、東京行ったおみやげです」
「え〜 あれ、冗談で言ったのに買ってきたんだ〜」
密かに私が、え? と思うのだが、にこやかに、「え〜 そうだったんですか〜?」と笑っておく。パーマのかけた私を見て、「いい感じ。色気がでたね」と褒めるのだが。(Y子は元美容師である)
思い返せば、私がわざわざ自転車をこいで遠出して靴屋で買った自分のナースシューズが彼女のものになっている。

 医院の中は、やけに寒い。冷え性と言う、Y子はカーディガンを羽織っている。とはいえ、冷房の設定が24度とはどいうものか。受付に座る私の上は冷気が直撃している、私は常に凍えていた。
 ついに耐えられなくなり、「母に寒いから温度設定あげる」と告げ、冷房の温度を2度上げた。26度。私はしばらく安心して仕事を続けていたが、気がついたらまた寒い。冷房の設定をみると24度に戻っているのである。絶対Y子である。 暑いのなら、お前そのカーディガンを脱げよ、と告げたくなるのだが、歯向かう気力もなく(あほらしく、寒くて)ついには私がカーディガンを羽織る羽目になるのだ。

 今日は真夏日らしい。兵庫では37度以上を迎えたらしい。私はただ医院の中で寒さを感じていた。
 思えば37度は人の微熱の体温である。恐らく外へ出れば、常に人の温もりを感じる温度であった。つまり人に常に抱かれているというのと一緒ではないだろうか。それを、ただ、暑い暑いという。時にはうざいとも言う人もいる。
 人に抱かれて、なにか感じるものがあるのは、やはり人の情念が伝わるからだと、再確認。(というか最近当たり前のことばかり書いてる)

 夏がきたね。
 私は何を探して過ごそうか。
 忙しいあなたにかまってもらわずに、寂しさの代償を探している自分がいます。

 この街。言ってしまえば、私の住む県。
 私が県外の大学へ行けば、恐らくこの街では当分暮らせないのだ。東京へ行って、なおこの街が愛しさがよくわかる。
 勉学に身を包み、私に恩をくれた人の恩を返す。無理ならば、とにかく、笑ってあげるのだ。そうでなくても、成長した様を見せ付けるだけ、見せ付けて。
 
2005-06-24    「そうゆう時」


私の「そうゆう時」はある時ゆっくりと波のようにやってくる。
はっと一つのことに気づき、そして狂ったように呻き、何事もなかったように寝る、夜。
また、「私の話を聞いて」と、それさえも誰かに告げたくなった。

寂しさを、押し殺し続けるのは、人間には不可能なことではないか? ということ。

まあ、勿論のこと。当たり前のこと。これくらいでくじけちゃ、仕方がない。

こんな夜は何も考えず、すっと眠りたいのだが、睡眠薬に委ねたくない気持ちが大きい。だから飲まない。
そうして、狂気は、数回の自慰の後、落ち着くものだった。

朝になったら、思う存分働き、勉強をし、酒を飲み、寝よう。

ハードディスクを初期化し、何か想いを込めて書いた小説は無に還る。
思い起すように、新しく書き始めた小説は、若い男女が海を眺めるところから始めた。
海にはいくつも思い出があるのです。
新しい思い出を作るのは、恐らく、当分、夢の中。
 
2005-06-21    切実


寝る前の自慰。
睡眠薬に頼れず眠れると思ったのだ。
誰を想って? そんなの別に書かずに知れたこと。
天昇して、想った。

「みんな、好き」

次第に浮かぶ、一人の面影に、切ない気持ちが溢れ、涙が一粒。
 
2005-06-20    「好き」と言った数を数えれば


 いくつ言っただろう。最近はそう言うことも少ない。
 今更になって、あの曲、この曲の歌詞がしみる。世の中は、おもしろおかしくもラブソングに溢れていた。

 東京へ行き、大きな都市にだが、田舎者が「なんて賑やかにしていて寂しそうな街なのだろう」と思うのは珍しいことではないと思う。
 三泊四日の東京の旅行記を書けば、書ききれないほど多い。しかし、これは思い出にゆっくり秘めておきたいものだった。新宿、渋谷、世田谷、六本木、上野、そして、三鷹。ライブとオフ会に初めて会う人に戸惑い、友人・Rと過ごした日々と、気持ちがカタルシスされた三鷹、そして同世代の若い子達の飲み会。 思い返せば何もかもが新鮮だった。自分はまだまだいけるだろうと自信つけたのは、何よりも変わらぬあの天の蒼。
 帰りたい気持ちに何度も襲われる。
 結局、私は故郷を捨てられぬ人間だった。

 「それ美味しそうだね。ひとつくれよぉ」
と、ホームレスのような人が、私のお供えの桜桃をたかってきたが、「いやです…」とひ弱に断った。
 桜桃忌のことである。
 俗に自虐小説と言われる、太宰治の命日(と言われているが、命日というのは不明で6月19日は遺体が見つかった日である)にどんな人が来るのだろうとわくわくしていたのだが(去年は開催の時間にずれて参拝したためまったく人がいなかった)、意外と普通な感じであった。 豪華な花に着物を着た美人もいれば、可愛らしい女学生の姿、ご老人夫婦。
「その(花束の)ビニール袋とったほうがいいみたいですよ」
と墓参の集団に並んでいた私は20代後半の男性の声をかけられる。ああ… と呟き、その後、どこから来たか、とか、作品はどれくらい読みましたか?とか聞かれ、私は嬉しそうに答えた。
「ええ、主に後期ばかり読んで… どれもほとんど好きなんですけど、読んでないのも多くて」
「僕も若いころは読みましたけどね。懐かしいです。仕事が忙しくて、今日日曜じゃないですか。これを逃したらもう二度と来れないと思って…」
「あ、そっか…そうだな…」
そこで、あのホームレスのような人が、後ろで、
「煙草までお供えしてあるぜ。あれも全部もらえるんだ」と喋っていた。
私は恐ろしくなって黙り込む… 手にある桜桃の行方は貧民の胃の中だった。
 それでも、名も知らぬ白い花と桜桃を供えた。去年のように、名前の彫った石に桜桃を埋めようと思ったが、これほどの人だかりですることは奇奇怪怪すぎるだろうと思い避難。

 ほら、水だよ。
 喜べー
 よかったね。こんなに愛されてよかったね。

 今年は雨が降らなかった。墓の前で、何か言おうと迷った私だが、手を揃え目を瞑り、こんなことしか想えなかった。
 太宰のあの寂しい心は、今でも誰かの心に共鳴され、あのひねくれたユーモアは、人を楽しくさせてくれるものだろうか。今でも。文学が好きな若者なんて私の周りにあまりいない。
 ちっぽけな私は、太宰、太宰と思いながら禅林寺をうろうろと周った。
 東京の街で、私らしい気持ち、そして、太宰が好きでよかったと思えた気持ちになったのは、禅林寺と太宰ファンの心の静寂が伝わったからだった。

 そんな二回目の桜桃忌。来年も行きたい。
 太宰が好きな自分はあの頃も今も大切にしたい。

 その19日の夜は、上野飲み会であった。友人Rの友人の、そのまた友人、という初対面の人ばかりだが、楽しい宴会で、特にその中の一人と、PCのメールで親しく交流は続いている。

 思い返すことが色々あるのだ。
 翌日、東京をでるとき、「優しい人になろう」と思った。

適当に書き留め。めちゃくちゃですみません。東京の旅行はその後の日記で、思い返すように書いていこうと思います。
 
2005-06-16    みっともない


泉に散々言われた。
常に優しい言葉を求めている自分あたり、赤子のようである。
言ってくれる人がいるだけありがたいということ。
負けたくないと思うあたりが自分らしいということ。

やはりごまかし続けた人生ということ。

自分の否定はしたくない。しかし誇りさえ思えるほどでもない。なにもできない。しかし、書きたい。今までの人生を無駄にせず、思い描いたものを書きたい。
飲まれていく。何に? 見えないものに。

自信喪失。暑さも気だるさも。そうして、正論を言われれば腹が立つ。それはちゃんと自分の中で認めていることだからだ。

静かに人生を語る人になりたいのだ。そうなるべき過程で、努力するべきなのだ。そうだった。昔から、そんな人になりたかった。
 
2005-06-15    壊れゆくなるしずむ


 長らく「自分の弱さ」を扱うのにどうしたらいいのかということを考えていたが、今日やっと、憎むべきだという答えがでた。
認めてあげるのは、大きな器の人間になってからだろう。
今の私には飲まれてしまうだけだろうから。
そして泉にも龍にもT氏にもKさんにも、褒めてもらうのだ。
今になって答えがでるなんて…子供だな。
あの時龍が「茜ちゃんは自分に負けてる」という台詞がやっとわかったのだ。

明後日は東京に旅にでる。
19日には何度も自分と重ねた男の墓へ行く。
 
2005-06-14    海はすぐその目の前で終わる


三日三晩泣き枕。
昨日は龍とみんなと飲み。
「愛ってなんだー」と嘆き、誰かと嘆くことが暖かく……それだけではいけないと思いながら、心の霧が晴れていく。やがて、また「優しい人になろう」と呟くと、龍が笑った。
1時を過ぎると、母も弟も寝る。一人、彼を待つ時間が始まる。
遠くの彼は大学関連で忙しくらしく、ぽつぽつたまにメッセンジャーで話すくらいで、私はネットサーフィンか、読書か、音楽を聴いて時間を流す。
AM2:52
ローペースで読んでいる、「春の雪」で「海はすぐ目の前で終わる」という文に、海に永遠性を求めていた私の中の心にいじわるに汗をかかせた。
 
2005-06-10    calling me


 彼の体調も考慮して、やはり今日は会えなかった。その前日、眠気にイラついていた私は、彼の「やっぱり、無理」という言葉に落ち込みながら、「うん…… でも会いたかった」と一言言うと、「そう言われるとどんな気持ちになるか知ってる?」との台詞で電話をきられた。

 自分は馬鹿だろうか。違う、我侭。

 そうして今日は連絡が来ない。疲れているだろうと思い、家で時間を過ごしながらも、鳴らない携帯電話を何度も見た。
 3時に電話をし、でなく。
 7時に電話をし、でなく。
 11時に電話をし、でなく。

 「ただいま、電話にでることができません。後ほど、おかけ直しください。プープープー」
 その度、自分の我侭に後悔する。何度も彼が優しくしてくれる妄想を描いても、もうそれは二度とないかもしれないと思った矢先、瞳は潤むが、涙を堪えた。

 3度目の発信の後、煙草を買いにコンビニへ行くと、そのまま私は自分の近所を駆け抜けた。
気がついたら泣いていた。
汗をかいて部屋に戻ると、もう一度電話をしてみる。やはりでないのだ。何度もしつこいように着信をする自分が嫌いだ。そうして、私はふとあるひとつの過去を思い出した。元彼・Kさんとの電話である。

「ねー 毎日電話するのをやめないか?」
「えーなんでー?」

 その台詞に、いつも通り私らしい対応を見せたが、あの時のあの台詞から一歩彼が私から離れてゆくのを、冷たくなる秋の空気の温度と共に感じた。
 やりきれなくなり、風呂場で泣いた。やはり、やはり、やはり…

 そうして、風呂に上がりもう一度着信をしてみる。「ただいま、電話にでることが…」嫌な女の声。感情さえもない。
 しかしそれからすぐ一通のメールが届く。
「今ベッドから出た…」
 そうとう彼は疲れていたのか。
私はなにより安心するため息をつく前に、涙がでた。


追記
愛しているのに、愛せてないのだろうか。
と考えたら、涙が出て、声をひしゃぐりあげて、ベッドで泣いた。
睡眠薬に寝付かされるのを嫌がり、泣き疲れて眠ることの感覚を久しぶりに覚えた。
 
2005-06-9    25:30


昨日の夜、泉と出会った頃を懐かしがり、はちゃけてた発言をしていたなあと恥らう。
もう二ヶ月の前のこと。
「誰も愛せない」と言っていた自分だが、「愛する」ということはどんなものか。と彼からのバイトが終わりの電話を待つ。
高ぶる気持ちを押さえつけてばかりでは駄目なのだということはわかっているのだが、何故、「愛する」ということが、肉体、エロスに関連しているのか?と考えたりする。
やはり私もどこかで、プラトニックなものに憧れたりもするのだ。

もし、明日会えるのなら。と思う。
そうして、私はベッドにうずくまり、頭の中で、明日会えるのなら彼に言う台詞をひとつひとつ紡いでいった。
これはどうしてか小さな頃、浮かぶ白い雲がまだらにうかぶ青い空を一人で見上げて雲を数える気持ちに似ている。
 
2005-06-06    守りたくて、壊れてしまうのか


 いつも通り、私は彼に夢の話をする。

 最近私が見る夢。
 すれ違う人々に交わろうとしても交われない夢だ。多くの人が出てくる。知り合いの人。見知りあいの人。まったく知らない人。まるで、その人たちは忙しそうに私を無視し、すれ違う。背景は、都会のビルの下か、もしくは、空の中か。
 それであって、今朝はまた変な夢を見た。
 知り合い(だと思われる)の子供がどこかにさらわれて、危機のとき、私は必死でその子を救おうと、守ろうとしていたのだ。まるで自分の子供のように。守れたか、守れないかまでは覚えていない。ただ、私は守ろうとしていた。

 彼は興味深そうに話を聞く。彼とは、主治医Hだ。「守る」に関して、私はまたこんな発言をした。
「私、たまに、誰かを守る妄想をするんです。それも命を削って、ぼろぼろに、身体をはって……………そうすれば、認めてくれるかなって………」
 彼は、「いいね」と言って診察を終了させる。私は「薬は減りませか?」と聞いた。薬は変わらなかった。また来週。
 クリニックからでれば、梅雨前の生暑さが漂っていた。街の裏の通る通行人は私など見もせずに通り過ぎていった。
 この暑さの中、昨夜の晩、弟・リョウ(仮名)と話したことを思い出した。

 「で、あんたは何がしたいの?」

 そう彼が言って、「文学がしたい」と答える。「ふうん」と彼は煙草を吸い、
 「で、これからどーすんの?」と聞く。「大学でも行こうかな」と言えば、「ふうん」と言った。それから、「あんたは漠然としすぎてるんだよ」と言う。
 リョウは高校二年で、私が住む地元の一番の高校に通っている。将来は、歯医者になるらしい。歯医者をなりつつも、その反面、好きな音楽をやろうという、まっとうで、夢溢れるものだった。
 「人間はね、ゴールがないと頑張れないんだよ。俺だって、この高校入ろうと決めて入ったんだ。あんたは流れるままじゃないか。だいだい高校辞めたデメリットは大きいな。ま、終わったことどーこーいってもしゃーねーけど」
 私は何かを喋っていた(もしくは語っていた)と思うが覚えていない。

 なにがしたいのか。
 なにか守りたいものがあるのか。

 私は立ち尽くした。自分の中の城がまたひとつひとつ破片をはがして崩れていくのを感じた。梅雨の前の6月の空の下。街の中で。ふらふらとどこか店に入り、服を眺めるが、その服の色も、全て色あせたものに見え、デザインも何もかも一緒に見えた。「今日は××では30度を越します」と天気予報士の女の声を思い出し、雨が降ることを望んだ。
 眩暈がし、「もしもし、おねーさーん」と私の肩に誰かが触れる。すれ違う人並みの中で。私はナンパだのキャッチの人に声をかけられると、くすくすとつい笑ってしまうのだが、つい顔の筋肉をだるませ、しかし、足は素早くその場を去った。
 彷徨い続けて、辿り着いた、漫画喫茶。そこで、私の好きな可愛らしい絵の穏やかにコマが流れる青春漫画は、私を更に迷わせた。

 こうして今、書いている。小さな漫画喫茶の個室で書いている。自分のパソコンが壊れた。最近では部屋にいると、勉強か電話か本を読むかである。

 なりたい自分。

 そう、あの中学時代の、ただ嘆いていた自分。「悲劇のヒロイン」から卒業した自分だが、「なにもできない自分」には変わりがなかった。

 家に帰ろう。帰ってどうするのか。恋人から電話を待つだけの女になるのか。
 ふと母を想い、そして何故かとっぴょうしもなしに、生まれたばかりの自分のいじらしさについて考えてみた。