青春売買ホテル

茜の青春実況〜カコログ

 
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2005-10-10    内面にあるもの


街が好きではない。
知らない人が多いところは好きだ。
知っている人が多いところは嫌いだ。
私の周りに1人いれば、私を深く理解しようとするし。
私の周りに100人いれば、私を浅く理解するだろう。
だから、私は前者を望む。

私は「中」にいた。
私は「外」にいる彼を待っている。
アルコールの少し入った身体が熱い。
息が苦しい。
彼が来ない。
向こう側の世界は、昔とは違う。
街(=外)は変わっていく。
人がどんどん入れ違いに変わっていく。
そして、私も、龍の彼女という立場だから、彼の知り合いも、また、私を違う目で見るのだ。
どんな目だろう? T氏はどんな目で私を見ているのだろう。
龍の第一の理解者は、、

「どうしよう。あたし頭おかしいのかなあ」
ああやって、T氏に泣きながら電車の中で電話をした、今年のはじめ。
気が狂ったように、龍の首を絞めた。
あれから、あまり、話をしていない。
「愛って素晴らしいね」とT氏はその昔また言っていて、私は随分と心の広い人だと思ったが、今は彼が必死なのがわかる。
干渉してはならないし、私はT氏の前では「少女」でいたい。

そんなことを思い出し、考えて、彼を待つ。


男の世界に女は入ろうとする。
苦しくて、なじめなくて、寂しくて、泣きそうになる。
思えば、今まで付き合った男性のときもそうだった。

「待っている間、ちょっとクレイジーだった」
「なんで?」
「頭に考えていることを文章化していた」
「それって難しいんじゃないの?」
「とってもクレイジーよ」

ホテルで私は、うふふと笑う。
「俺の知り合いは、茜ちゃんのこと綺麗だって」と言ったから。
私は、なんだか嬉しくなってしまう。
そんなところが、自分の中でいやしい可愛いところであり、
彼にとっては、女子供じみた可愛らしさであることを知っているけれど。

ホテルは誰も邪魔しない。
私の内面にあるもの。
それはすべてホテルの中にある。
ベッドもシャワーもAVもコーヒーも照明も灰皿も音楽も、快楽も、愛も、恋人も。

男性器のついた女性がでているAVを見た。
なんだか、私的にグロテスク。エロスなどぜんぜん感じず、ぽかんと二人で朝それを眺めていた。


夜、太宰治の単発ドラマがやっていた。
やっぱり、かわいらしい人。
私の中に、太宰治になりたがっている少女がまだ存在する。
私の内面に。
 
2005-10-08    保健室


「保健室があるけど行く?」
美人の美術塾教師は言う。私は、はい、お願いします。と自分の足で保健室へ向かった。

 土日は塾。大学の入試のデッサンの勉強。平日の三日間はバイトで、残りの二日は文章教室と陶芸だった。
 地元から街への長い通学・通勤。テリトリーを走り回る営業で、帰ればすぐ就寝。物書きができるのは、バイト以外の日のみである。だが、それに至っても、多忙多忙。

「忙しいの好きでしょ?」
と昨日だか、龍が言った。やってて意味のない忙しいのは大嫌いだ。ただ今、すべてやっていることに目標があるから、楽しいのだ。
「忙しいのは好きだけど、急に嫌になる」と私は言う。
「それっぽい」と彼は言う。
「バイトにハマりそう」と私は言う。
「それでも急に嫌になりそう」と彼は言う。
私はしばらく考えて、「でもそれを乗り切れたらいいことが待っている」と言う。

 塾の教務の人が案内をし、私は保健室のベッドで横になった。
 思い起こす。
「また保健室だ」
中学・高校共に、保健室でただ寝ていた記憶だけが蘇る。
 あの頃、何にそんなに疲れていたのかを考える。今になって。
 朝早く起きて学校へ行くのが苦痛だった。養護教諭に甘えていたのもあった。「教室」から逃れたかった。
「名前とクラス聞いておくけど…」
私はベッドから起き上がり、それを告げると、しばらく教務の人を眺めた。
「いいから、寝てなさい!寝不足なのよ!」
私は苦笑して、ベッドに再び横になると、すぐに眠りに堕ちた。

 浜辺で白い砂を拾っていた。
 白い砂。白い砂。私のコップに入れてあげましょう。白い砂。
 けれども、コップから砂が溢れてしまう。
 コップの底が抜けた。
 白い砂! 白い砂がすべて落ちてしまう! 私の砂が!
 …ああ、大丈夫。これは夢なんだ。私は眠れるんだ。ゆっくり寝よう。「保健室」で。

 これが眠りに堕ちる直前の記憶である。

保健室の白いベッド、白い天井、静かな私の眠れる隠れ家。
 
2005-10-01    私は私のなりたい少女になれるのか?


私は夏から、私の「理想の少女」になることを夢見ていた。
私はまだ少女でいられる悦びを、存分に今感じられるのだ。

けれども、なんてこと!
道端で歩き煙草でもしてみれば、誰にもなにもいわれない。
まあ、18と20の外見の差なんてあまりないのだろうけれど… 堂々と警察署の前で煙草を吸ってみれば、「ちょっとここで吸わないでください」なぁんて。

スーツを着込むバイトを始めた。
営業だった。
広告代理店のバイトで、文章でも書かせてくれると思ったら、営業をやってくださいとのこと。
なんとなく、承諾をうけたら、楽しい仕事だった。営業って絶対向いてない人間だと思ってたのにな。
セーラー服なんて、もう着れない。
私はスーツを着込んでいる。
丁寧な敬語を使い、人と話せるようになる。
高認をとって、今は社会人という立場でもあるのだろうか。

ああ、少女。
街で泣いている大人の女がいた。
(私にとっても彼女にとっても)多くの知り合いが彼女を囲んでいる。
私が道端で泣いていれば、誰が側にいてくれるのだろうか。

そんな彼女はよくそうやって、泣き、しゃがみこみ、気分を悪くし、嗚咽をするらしい。
私は彼女が嫌いなわけではない。
時たま、彼女のみせる表情が、昔の自分に似ていて、私が混沌するだけだ。
その姿も、昔の私にはたまにある。
だから見てて、嫌な気分になるだけだ。
そして、そんな姿に私もまた戻りたいとも思うのだ。
その気持ちが、「美しい残酷」な感情であったら、
それは私の「理想の少女」の一部である。

私には、少女であらなければならない。
一年と半年の時間で。
私は私のなりたかった少女になるのだ。